これは自分の勝手な想像なんですけど、酒井監督ってカレイドスターが凄く好きな方なのかなと感じました。
こう1年前の記事で書き記したことがあります。
ラブライブサンシャインがカレイドスターみたいになっとった
ちかちゃん頑張った— 西田亜沙子(モフモハー西田) (@asakonishida) 2017年11月11日
アニメ制作者なら、あの佐藤順一監督の伝説の名作をやはり避けては通れないんですよ。
一見すると特訓のみ見てカレイドスターみたいだな、と思われがちですがラブライブ!サンシャイン!!2期6話は根底からカレイドスターを反芻したような内容でした。
廃校を阻止するために持ち出した必殺技”MIRACLE WAVE”…
僕の持論、アイドルの歌は必殺技ですからね!
— NAU (@revolversix) 2014年6月24日
カレイドスターではユーリに奪われたカレイドステージを取り戻すために提示された”幻の大技”…
”幻の大技”はいわくつきで、その難易度から挑戦した者が命を落とすこともあった…
過去に挑戦したかつてのカレイドステージのプレイヤーであるユーリの父親。ユーリは逆恨みでカレイドステージに復讐するためにステージを奪い、取り戻したいならば興行で”幻の大技”をやってみせるという条件を苗木野そらとレイラ・ハミルトンに提示します。
そしてラブライブ!サンシャイン!!の”MIRACLE WAVE”
かつて3年生がAqoursとして3人で活動していた頃の必殺技とも言えるべき存在で、それに挑戦したが故に小原鞠莉は足を故障。地区予選を棄権してしまった上に固い絆で結ばれていた3人は離散してしまった…
技術偏重化するラブライブが語られた1期。
そう、Aqoursは技術偏重のラブライブに対して問題提起、ラブライブの否定を始めようとしています。これはヤバイ、もはやタイトルの否定です。
誰かに勝ちたい、誰よりも優れたいとする現在のスクールアイドル。
μ’sの何がすごかったのか。
多分、比べたら駄目なんだよ。追いかけちゃ駄目なんだよ。
μ’sも、ラブライブも。輝きも。
〜ラブライブ!サンシャイン!!第1期12話より〜
答えを見つけた彼女たちですが、0を1に、1を10に、10を100にすべく再度、ラブライブにストレートパンチで立ち向かうのです。
そしてその必殺技を、この廃校の瀬戸際で出すしかないと松浦果南は黒澤ダイヤと小原鞠莉に押されて渋々、高海千歌に提示するのです。
過去に怪我した経緯、センターだけではない、メンバー全員の負荷も高い。
危険すぎるから今やる意味がないという松浦果南に対して、「今やらなくていつやるの?」と食い込む高海千歌。
オヤジの栄光時代はいつだよ…全日本の時か?
オレは………オレは今なんだよ!
高校野球でもよくあるエースにかかる高負荷。
のちの野球生命にも関わるので度々問題に取り沙汰される話題ですが、これは私も経験があったからわかります。
学生だからこそ今なんですよ…!限られた時間の中で…
だから今が最高!と歌いきった彼女たち18人がいたんですよ…
「みんなも無理しちゃ駄目だよって言われたことあるでしょ?
次のチャンスに!とか、また今度頑張れば?とか。
でもね、今やらなきゃ成し遂げられないことがある。今戦わなければいけない。やらない後悔なんて、そんなのいらない!」
~カレイドスター25話アバンより~
高海千歌の強い意志で”必殺技”の特訓が始まります。
その強い意志の原動力は”みんな”に恩返ししたい。
”みんな”が一緒だったからがんばれた。
その”みんな”はAqoursのみならず学校や地域の人たちのことも含めていました。
私はまだ何も出来ていない、だから一つでも恩返ししたいと…。
千歌なら、今のAqoursなら必ず成功すると信じると、小原鞠莉。
特訓する千歌を信じて見守るメンバーたち。
練習に明け暮れる千歌を見かねて果南は期限を提示します。
明日の朝までに出来ないのなら諦めろ、と。
まだ何も出来ていない、自分には出来ないのかと悔しがる千歌。
その高海千歌を信じているからこそ同じく特訓に挑み、一緒にボロボロになる8人。
ガイナ立ちする松浦果南。思い起こしてしまうこの言葉。
俺が信じるお前でもない。お前が信じる俺でもない。
お前が信じるお前を信じろ!
他の誰でも今のAqoursは作れなかった。千歌ちゃんがいたから今があるんだよ。
自分のことを普通だと思っている人が諦めずに挑み続ける。それが出来るって凄いことよ。凄い勇気が必要だと思う。
そんな千歌ちゃんだから、みんな頑張ろうって思える。
Aqoursをやってみようって思えたんだよ。
恩返しなんて思わないで、みんなワクワクしてるんだよ。
千歌ちゃんと一緒に自分たちだけの輝きを見つけられるのを…
最後は8人に後押しされ、高海千歌が自分で自分を肯定する事で必殺技”MIRACLE WAVE”が完成するのです。
熾烈極まる特訓のみならず二人が、サポートするみんなが、自分を、お互いを信じなければ完成しなかったのです。
練習の中で怪我をしてしまうレイラ。
特訓を見守るカロス(監督)は過去、最後まで信じてやれなかったがために”幻の大技”に失敗して命を落としてしまったユーリの父親。
その後悔から、怪我を隠すレイラを絶対に最後まで信じると、レイラの意思に委ねた…
最後までそらとレイラを信じる。
しかし怪我を理由に今回はキャンセルした方がいいと言うそら。
チャンスはまた来ると。
レイラはこう答えます。
「それはいつ?1ヶ月後?1年後?10年後?
その時カレイドステージはあるの?
貴方が怪我をしていないと言えるの?
私はどうなってるの?
楽しみに待っている人たちはどうなるの?
もうショウは始まっているのよ。私のせいで誰かが落胆するのは我慢できないの」
~カレイドスター 25話 「ふたりの すごい 絆」より~
以前父を失望させてしまったレイラはその後悔からこの幻の大技だけは…と強い決意を見せるのです。
何故そこまで拘るんだという問いにレイラは微笑んで答えます。
「そこに最高の喝采があるからよ」
「これは、私と私の運命との勝負よ。
勝って必ず、最高の喝采をこの体で受けてみせる。
今引き返したらまたこんな気持ちになれるかわからない。
だから今しかないの。
これが今の私の気持ちよ、そら」
レイラの強い想いを受けて奮い立つそら。
フール(ステージの精)はこう問います。
「死を恐れないというのか…」
「私たちは死なないわ」「必ず成功してみせるから」
自分と、お互いを信じて、幻の大技は完成するのです。
9人が9人を信じた必殺技”MIRACLE WAVE”
最高の喝采。
この記事を書き起こして、初めてこの輝きに気づけました。
輝きを見つけた彼女たちは最強だ。
初見で見た時は、これが”MIRAI TICKET”に果たして勝ることができる歌、”必殺技”なのだろうか…
ミラチケで負けてこれで勝てるのかっていう個人的に映像の説得力が足りてない
— NAU (@revolversix) 2017年11月11日
こんな浅はかな考えでした。
しかし内容はあまりにもカレイドスターだった…だからちょっとブログに書いてみようと思いを馳せながら反芻すると、正直涙が出てしまいましたよ。
「どうして?カレイドステージのためなの?」
「本当言うとな、ただこの技に挑戦したい。それだけさ。うまく行ったらでっかい拍手頼むぞ!」
〜カレイドスター25話 ユーリ親子の会話より〜
カレイドスターの繁栄や奪取の御託は置いておいて、演技者として”幻の大技に”挑戦したいという素直な気持ちが最後は勝っていたのです。
今日ここで、この9人で歌えたことが本当に嬉しいよ。
私達だけの輝き、それが何なのか…どんな形をしているのか…
私達9人が見たこと、心を動かされたこと、目指したいこと、その素直な気持ちの中に輝きはきっとある!
〜ラブライブ!サンシャイン!!第2期6話 地区予選にて〜
廃校阻止出来るのか、地区予選を突破できるのか、そういうことに関係なくとも彼女たちはその素直な思いで、輝きに近づきつつあるんです。
μ’sのすごいところって、きっと何もないところを、何もない場所を、思いっきり走ったことだと思う。
みんなの夢を叶えるために。
自由に!まっすぐに!だから飛べたんだ!
μ’sみたいに輝くってことは、μ’sの背中を追いかけることじゃない。自由に走るってことなんじゃないかな!
全身全霊、なんにも囚われずに、自分たちの気持ちに従って!
〜ラブライブ!サンシャイン!!第1期12話より〜
全くブレていないラブライブ!サンシャイン!!
今放送されているホットな作品でこれだけの青春物語を描いてくれることで、奮い立ってくれる子たちが何処かにいるのだろうと思うと、なんだか嬉しくなってしまいます。
ラブライブ!サンシャイン!!のキャストのお渡し会で直接会えたことに感極まって泣いてしまったってファン、なんか気持ちわかるんですよね。
俺の学生時代ってスラムダンクが青春バイブルみたいなものだったんですが、もし現実にそれを体現した人たちが目の前にいたら多分嬉しくて泣いていたと思うんです。
俺の青春時代はとうの昔に過ぎ去ったけど、そういうモノに出会えることは本当に幸せだと思います。
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